子どもたちのサインに気づき、サポートするためにできること

子どもたちのサインに気づき、サポートするためにできること

新型コロナウイルス感染拡大対策に伴い、それまでの家庭内での親子の関係性、保護者の仕事や経済状況、地域コミュニティにおける文化やリソースなども影響して、子どもにとって「家庭」が安全で安心な場所でなくなる場合があります。

この記事では、子どもたちが安全に過ごすために周囲の大人たちができるサポート方法をご紹介します。

子どもや保護者からの「助けて」のサインの見つけ方

例えば以下のような、普段と違う様子が見られた場合は、その子どもや保護者が困り事やつらさを抱えている可能性があります。

(1)子ども

  • 普段は見られない不自然な傷やアザなど、身体的な変化がある
  • 普段より活気がない、ぼーっとしている、おびえた様子であるなど、表情や様子に変化がある

(2)保護者

  • ひどく疲れている、精神的に不安定な様子である
  • 子どもへの接し方が普段より厳しくなっていたり、イライラした様子である

子どもや保護者の様子を見ていて、「大丈夫かな」「心配だな」と感じたときは、以下の章を参考に、直接・間接的なコミュニケーションやサポートを試みましょう。

子どもや保護者の安全のためにできること

保護者との関わり方

保護者自身も余裕がない中で、子どもとどのように関わればよいか分からず、困っている可能性があります。子どもとの関わり方についてストレートに質問するのではなく、まずは、日ごろのやりとりの中で、「最近、何か困ったことはない?」「○○さん(子どもの名)は学校が休みだけど、元気にしてるかな?」など、保護者や子どもの様子をそれとなく尋ねてみてください。

話の中で、「実は子どもを叩いてしまったことがあります」などと、保護者から打ち明けられることもあるかもしれません。その場合も、叩くという行為を責めるのではなく、まずは「話してくれてありがとう」、「○○さん(保護者の名)も大変でしたよね」などと、保護者自身の頑張りや、つらさ、痛みなどを受け止め、共感するような言葉をかけてみてください。

そのうえで、「こんなところがあって、そこに頼ってみたら少し気持ちが軽くなった方もいるみたいですよ」などと、適切な支援とつながることが、子どもだけでなく、保護者自身も楽にしてくれる可能性を示しながら、支援機関や相談窓口を紹介してみてください。

支援機関・相談窓口として、例えば、子育ての悩み相談や地域で受けられるサポートを知りたい場合、まずは児童相談所が考えられます。そのほか、各市区町村の役場(役所)にある児童福祉課・子育て相談課・民生課などで対応してもらえます。

また、社会福祉法人子どもの虐待防止センター(CCAP)は、研修を受けた相談員による電話相談を行っているほか、育児不安や虐待などの悩みをもつ保護者同士が自分の体験を語ることで思いを分かち合うなどのグループケアも行っています。さらに、保護者と子のコミュニケーションを学ぶプログラムも実施しています。保護者が、このような信頼できる専門機関とつながるなかで、育児のストレスが軽減されることが期待されます。

こどもの虐待防止センター(CCAP)

子どもが休校中の居場所として利用できる施設や食事提供の情報などは、それらをエリア別に提供しているWebサイト「#休校中ここもあるよ」が役立ちます。それぞれに応じた場所などを探し、その子自身や保護者に伝えてあげてください。。

多様な学びプロジェクト #休校中もここあるよ

子どもとの関わり方

子どもが家庭で安心・安全に過ごせないという状況にあることを、子ども自身の口から聞くこともあるかもしれません。子どもがそうしたことを人に話すには、とても勇気がいります。話すまでに、ためらいや不安などがあったかもしれません。話の内容が前後したり変化したりすることもありますし、大人の姿勢や聞き方によっては、子どもが意図していない方向に話が誘導されてしまうこともあります。

(1)否定しない

まずは、「話してくれてありがとう」と受け止めることからスタートしましょう。子どもが「やっぱり話さない」と言ったり、内容が二転三転するかもしれませんが、それも一つのサインかもしれません。そのような視点を持ったうえで、じっくりと焦らず、否定せずに話に耳を傾けるようにしてください。

(2)決めつけたり、自分の価値観で判断しない

例えば、「親が怖い」など保護者についてのネガティブな感情やエピソードを子どもが話したとき、「そうか、怖いと思ったんだね」などと、相手の言葉をフラットに受けめてください。自分の価値観で勝手な判断や解釈をしないよう心がけることが大切です。

(3)受け取った情報は大切に扱う

信頼関係を損なわないためにも、子どもから得た情報は、その子ども本人に確認をとりながら扱い方を決めていく必要があります。もし、誰かに話したほうがいいと判断した場合でも、事前にその理由を丁寧に伝え、誰かに話してもよいか確認をとってください。子ども自身の考えを聞くことも大切です。

(4)情報を共有する

子どもを支えるにはチームワークが必要です。特に、虐待やDVに関する聞き取りは、とてもセンシティブで技術を要する行為なので、自己流で行ったりせず、児童相談所などの専門機関に対応を委ねましょう。

虐待の可能性や危険が感じられた場合

子どもやその保護者に虐待の可能性や危険があることを感じた場合は、自分ひとりで抱え込まず、児童相談所に連絡してください。児童相談所は、決して懲罰的な措置をする機関などではありません。子育て全般の相談ができ、サポートを求めことができる場所です。心配な様子の家庭が児童相談所とつながることで、その家庭に必要なサポートが得られたり、困り事解消につながる可能性があります。

まずは「189」に電話相談

「189」は児童相談所虐待対応ダイヤルで、電話をかけると24時間365日、無料で最寄りの児童相談所につながります。相談者の氏名や相談内容に関する秘密は決して口外しないよう定められているため、相談者が安心して相談できる環境が整えられています。もし、児童相談所の担当者に対しても氏名を明かしたくない場合は、匿名での相談も可能です。

このほかにも、「子どもの人権110番」では電話相談に加えてメール相談も受け付けています。ご都合に応じてご利用ください。

児童相談所虐待対応ダイヤル(外部リンク)

  • 電話:189 (無料)

子どもの人権110番(外部リンク)

おわりに

社会が大きく変化しているそのときに、ほかの人のつらさに関わることで、普段よりも大きな負荷がかかってしまうことがあります。自分自身を労わることが、周りを守ることをつながるということを忘れないようにしましょう。

関連記事